【コラム】熱中症対策について

令和7年6月からの義務

令和7年6月1日から、熱中症の重篤化を防止するための措置として労働安全衛生規則改正法が新たに施行されました。この改正により、以下の措置が事業者に義務付けられます。

1 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
 ①「熱中症の自覚症状がある作業者」
 ②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること

2 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
 ①作業からの離脱
 ②身体の冷却
 ③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
 ④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること

罰則

改正規則で定められた熱中症対策を怠った事業者は、都道府県労働局長または労働基準監督署長から、以下の使用停止命令等を受けるおそれがあります(法98条)。

作業の全部または一部の停止
建設物等の全部または一部の使用の停止または変更
その他労働災害を防止するため必要な事項

また、熱中症対策の実施義務に違反した者は「6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」に処されるほか(法119条1号)、法人に対しても「50万円以下の罰金」が科されます(法122条)。

社内での実効性がカギです。

近年の気温上昇、高齢化に伴い、熱中症になられる方が増えています。この様な計画は、ともすれば形骸的なものになりやすいですが、熱中症に関しては生死にかかわる重要な症状です。企業の安全配慮義務の観点や働きやすさの観点からも、ぜひこの機会に実効性のある計画をしっかりと立ててまいりましょう。